2012年8月宗谷本線普通列車の旅 稚内駅→徳満(とくみつ)駅

マニアックな趣味

こんにちは、アスナロです。
わたしは会社を定年退職した60代男性で、現在第二の人生を楽しんでいます。
わたしぐらいの年齢になると人生経験も少しは豊富になり、みなさまの参考になる情報を提供できるかもしれません。
つたない文章でまことに恐縮ですが、年甲斐もなくブログをやっています。

2012年8月宗谷本線普通列車の旅 稚内駅→徳満駅

みなさまは、北海道の宗谷本線に乗ったことはあるでしょうか?
宗谷本線は、旭川駅から稚内駅まで総延長259.4kmの路線で、戦前は樺太(現サハリン)大泊港までの稚泊(ちはく)連絡船と接続する重要な幹線でした。

戦後、樺太への連絡船がなくなり寂れてしまいましたが、それでも国鉄時代の宗谷本線は多くの支線群を有する幹線で、主だった支線等は以下のとおりです。

①名寄駅から分岐する名寄本線および深名線。
②音威子府(おといねっぷ)駅から分岐する天北線(南稚内駅で再接続)。
③幌延駅から分岐する羽幌(はぼろ)線。

JRになってすべての支線群が廃止となり、現在残っているのは、宗谷本線のみという寂しい状況になっているのです。

アスナロは、稚内駅には1981年に初めて訪れました。このときはレンタカーを利用したので、宗谷本線には乗っていません。
初めて乗ったのは、約30年経った2012年のことでした。このときもレンタカーで稚内駅に行きましたが、どうしても宗谷本線に乗りたかったので、時刻表を調べ、稚内駅から行けるところまで南下して、折り返しの列車で稚内駅に戻ってくる旅を計画したのです。

宗谷本線普通列車 稚内発 名寄行

(稚内発時刻表)

稚内  17:10
南稚内 17:14
抜海  17:25
勇知  17:34
兜沼  17:43
徳満  17:52
豊富  18:02

2012年8月6日、17時少し前、
アスナロとヨメはわくわくしながら稚内駅の改札口を通ります。
ホームには、1両編成のディーゼルカーが停まっています。

1981年に訪れたときは、稚内駅は島式ホーム1面2線で、貨物用の線路もたくさんありましたが、2012年には、2番線は廃止になっており、また貨物用の線路も撤去され、線路はたった1線になっています。

『稚内駅はずいぶんこじんまりした駅になってしまったなあ~。』というのが率直な感想です。本線の終着駅というよりは、支線の終着駅のような感じです。

アスナロとヨメは列車に乗り込みます。
夕方の列車なので、乗客数は思っていたより多く、発車間際には誰も座っていない4人用ボックスシートはなくなりました。

定刻17時10分、列車はディーゼルエンジンをふかしながら、ゆっくり動き出します。
さあ、いよいよ宗谷本線普通列車の旅の始まりです。

ヨメ「出発~!進行~!」
アスナロ「レッツらゴー!」

数分で、次の南稚内駅に到着します。
この駅は、昔の宗谷本線(1989年に廃止された天北線)の終着駅で、当時は稚内駅と称していました。現在の稚内駅(当時は稚内港駅)ができたのは、しばらくしてからだそうです。

南稚内駅を出ると、ほどなくして原野になります。
列車は何もない原野を走ります。
最高速度95km/hということですが、意外と速く感じます。カーブでもあまりスピードを落としません。競争相手がバスや車だから、先輩格の鉄道が負けるわけにはいかないといった感じです。

しばらく走ると右手に海が見えてきます。
日本海です。
そして、左右対称の美しい島が見えてきます。
利尻島です。
利尻島は、利尻富士とも呼ばれていて、夕日のシルエットでとても美しく見えます。

ヨメ「きれいね~!」
アスナロ「一度行ってみたい島です~!」

抜海(ばっかい)駅

きれいな景色に見とれていると、列車は徐々に減速し、駅に到着します。
抜海駅です。

抜海駅は、映画『南極物語』のロケ地になった駅で、木造駅舎がある北海道らしい雄大な感じのする駅です。
ホーム2面、線路2線の立派な駅で、上り下りの列車交換をすることができます。

アスナロが1981年初めて抜海駅を訪れたときは、まだ駅員さんがいて、硬券の入場券を売ってくれました。

稚内方面からの貨物列車が抜海駅を通過するとき、タブレット受け器でタブレットを交換するのを目撃しています。
2012年には、すでに貨物列車は廃止になっており、無人駅になったこの駅で列車が交換することはなくなっています。寂しいですね。

抜海駅で乗り降りする乗客はなく、列車はすぐに発車します。
窓から外を見ると、駅周辺には何もなく、すぐ原野になります。
乗降客がほとんどいないはずです。
列車は、何もない原野を走り続けます。
北海道なので、線路は直線かと思いきや、実際にはカーブが多く、アスナロたち乗客の体を遠心力で左右に揺らしながら、列車は大原野の中を南に向かってひたすら走って行くのです。

徳満(とくみつ)駅

列車は、次の勇知(ゆうち)駅に着き、さらにその次の兜沼(かぶとぬま)駅に到着します。
次はいよいよアスナロたちが下車する徳満駅です。

定刻17時52分、列車は徳満駅に到着します。稚内駅から42分で到着です。
進行方向左側のドアが開きます。

下車したのは、アスナロとヨメの二人だけです。
徳満駅の貧弱なホームに降り立ち、列車の方を振り向くと、乗客がみんなじっとアスナロたちを見ているのに気づきます。

乗客A「こんな辺鄙(へんぴ)な駅で降りる人がいるんだ!」
乗客B「旅行者かしら。物好きね~!」
乗客C「家も店も何もないのにな~!」
乗客D「ヒグマがいっぱいいるかもね。ああ怖(こわ)!」
みたいなことを思っているのでしょうか?

やがて、辺鄙でヒグマが出そうな駅にアスナロたちを残して、列車は行ってしまいました。

アスナロたちは、小さな徳満駅を出て、国道232号線に向かって歩くことにしました。

駅前には昔商店だったような空き家が何軒かありましたが、人の気配はまったくありません。
アスナロたちは、『となりのトトロ』か『ヒグマ』の世界に迷い込んでしまったような感覚になります。国道をたまに走る車のおかげで、ここは人間の世界だとやっと気づかされるのです。

すると、国道を左側(稚内方面)からマイクロバスが走ってきて、道路の向こう側で停まります。手提げかばんを持った少し年配の女性が一人バスから降りて、アスナロたちに背を向けて坂道をテクテク歩いて行きます。工場か何かの送迎のマイクロバスで、仕事帰りの人のようです。通勤は予想どおり鉄道を使わず、バスを利用しているのです。

ヨメ「あの坂道を行くと、トトロに会えるかも!」
アスナロ「トトロの代わりにヒグマが出たらごめんね~。」

帰りの列車の時間にはまだ余裕がありますが、駅に引き返します。
徳満駅の小屋みたいな駅舎で休憩です。
静かです。
時折国道の方から車の音が聞こえますが、それ以外何も聞こえません。人の気配はまったくしないのです。本州にも静かな駅はたくさんありますが、人の気配がまったくしない駅は、北海道広しとは言え、徳満駅のほかにはそんなに多くないかもしれませんね。

アスナロ「乗降客がほとんどいないこの駅は、近い将来廃止になるかもしれないなあ。」
ヨメ「平成の今、駅があるのが不思議なくらいね。」

定刻18時08分、名寄発稚内行普通列車が徳満駅に到着しました。
徳満駅に停車する本日の最終列車です。
夕闇迫る道北の原野の中を悠然と走る普通列車は、定刻の18時49分、終着駅稚内に到着するのでした。

(稚内行時刻表)

豊富  18:02
徳満  18:08
兜沼  18:17
勇知  18:23
抜海  18:31
南稚内 18:45
稚内  18:49

最後に

2021年3月、予想どおり徳満駅は廃止になりました。
文字は違うけれど、同じトクミツだからという理由で、アナウンサーの徳光さんと甥のミッツマングローブさんが並んで記念写真を撮った徳満駅がついに廃止となったのです。

何もなかった徳満駅ですが、なくなってみると寂しいものです。
廃止寸前だったとはいえ、まだ現役の徳満駅を訪れることができて、本当に良かったとしみじみ思います。

一方、抜海駅も廃止の可能性が高くなっています。
アスナロが2回訪れた、大好きな抜海駅。
最も北海道らしい駅のひとつ、抜海駅。
営業的に存続は厳しいようですが、貴重な観光資源としてなんとか後世に残していただきたいものですね。

ヨメ「徳満駅がなくなって寂しいね~。」
アスナロ「抜海駅はなくならないでほしいな~。」

今回は、2012年8月宗谷本線普通列車の旅 稚内駅→徳満駅をお話しました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

あすなろぐ

こんにちは!
わたしは会社を定年退職した60代男性で、現在第二の人生を楽しんでいます。
現在マンション住まいで、ヨメ、ムスメ、ビーグル犬ランの4人で暮らしています。ほかに結婚で独立したムスコが2人います。
わたしぐらいの年齢になると人生経験も少しは豊富になり、みなさまの参考になる情報を提供できるかもしれません。『アラ還からの贈り物』、『マニアックな趣味』をテーマに記事を書いています。いっぱい写真を貼っているので、写真だけでもご覧くださいね。
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