こんにちは、アスナロです。
わたしは会社を定年退職した60代男性で、現在第二の人生を楽しんでいます。
わたしぐらいの年齢になると人生経験も少しは豊富になり、みなさまの参考になる情報を提供できるかもしれません。
つたない文章でまことに恐縮ですが、年甲斐もなくブログをやっています。
小説あすなろ銀行~第1話
今回は、自伝的小説『小説あすなろ銀行』をアップします。今回は第1話です。
入社~テラー係で勘定不一致連発
昭和5×年4月、アスナロはあすなろ銀行に入社し、I支店に配属されます。
最初の一週間、アスナロは元方のベテラン女性の後ろの席で、札勘や小封、大封の練習をした後、翌週から早速テラー(窓口)係として3番窓口に入ることになりました。
『銀行に入って、まだ右も左もわからないのに、いきなり窓口係とは殺生な配置だなあ~』
と思いましたが、とにかく元気よく頑張ろうと覚悟を決めます。
当時、I支店は顧客が非常に多く、テラーは5人体制でした。
1番窓口は元方、2番は7年目の女性、3番はアスナロ、4番は6年目の女性、5番はベテラン女性の体制です。
女性たちは皆手が早く、特にアスナロの両隣のふたりは仕事をテキパキとこなし、アスナロの机に積み上がったカルトン(通帳やお金を入れるお盆)を次から次へと片付けてくれ、お客さまの対応で精いっぱいのアスナロを大いに助けてくれます。
負けず嫌いのアスナロも一所懸命頑張るのですが、どんなに頑張っても彼女たちの半分程度しか処理できません。
しかもテラーズマシンの誤入力のため、夕方一算で計算が合致することは稀で、3番だけ月曜から土曜までの6営業日で、良くて3勝3敗、悪ければ1勝5敗という惨憺たる成績を続けていました。
ヨメ「あ~あ、今週も負け越し決定ね~。」
アスナロ「面目ない~。」(シュン)
あまりにもミスが多いアスナロに、ある時支店長から、
「アスナロ君、せめて週のうち半分以上は一算で合わせるように。」
と苦笑いを浮かべながら注意されたりもしました。
アスナロとしても、わざと間違っているわけではないですが、残念ながら実力が伴わず、恥ずかしながら勘定不一致を連発し、この調子のまま4月が過ぎ、5月も過ぎていったのです。
勤続年数に2をプラスする
アスナロは大学に入る前に二浪しているので、この時点ですでに24歳。他の新入社員より2歳年上で、現役の2年先輩と同い年です。
それなのに、このようなミスの連続でいいのか?
情けない仕事ぶりがだんだん恥ずかしくなってきます。
『自分は1年目だが、これからは意識の中では3年目の社員としてやっていこう。常に自分の勤続年数に2をプラスし、2年先輩と同じレベルで仕事ができるよう頑張ろう!』
と心に誓ったのでした。
こんな意識が徐々に芽生え出したのか、単に慣れてきただけなのかわからないですが、6月中旬以降、勘定はほとんど一算で合うようになってきます。少しだけ自信も出てきて、やっと戦力の一部になったような気がしました。
札勘横読み~扇形に開かず
このように、テラーズマシンの操作では苦労しましたが、札勘の縦読みは早いうちに上達し、昔の漫画の『宇宙少年ソラン』に出てくるリスのチャッピーみたいな顔をしている2番の女性に勝つこともありました。
手先の器用でないアスナロがこんなにうまく札勘ができるとは信じられません。
練習の成果が出たのか親指が素早く動き、50枚ならあっという間に数えることができるようになったのです。
ただ4番の女性には、10月にテラーを卒業するまで一度も勝てませんでした。その女性は本当に速かったなあ~。
このように、札勘の縦読みはまあまあ早かったけれど、もう一つの数え方の横読みは全くだめで、いくら手をくねらせても、お札は45度くらいにしか扇形に開きません。だから最後には横読みを断念して、縦読みを2回行うことで対応したのです。
ヨメ「全然開かないお札…。」(汗)
アスナロ「とてもカッコ悪いテラーでした~。」(汗)
CD(キャッシュディスペンサー)締め作業~お疲れさま
I支店にはATMがなく、CD(現金自動支払機)が1台あるだけでした。
学生時代に都銀のATMを利用していたアスナロは、自分が就職した銀行のシステム化の遅れを実感して愕然とするとともに、CDが閉まる夕方以降はお金をおろすことができず大変不便に感じたものでした。
16時50分にCDの運用が終わるので、新人のアスナロは毎夕、店のシャッターの外側にあるCDを締める処理をします。
6月末までは試用期間で残業ができなかったので、CDを締めたらその日の業務は終了になります。
「やれやれ、今日も1日よく頑張った。お疲れさま。自分はえらい!」
と、自分を思い切り褒めて会社を後にしていました。
ヨメ「お仕事お疲れさまでした。」
アスナロ「できの悪いテラー係で、すみませんでした。」
今回は、自伝的小説『小説あすなろ銀行(第1話)』をアップしました。
第2回以降も楽しみにしていてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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